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 ご挨拶

代表:平澤 歩


 この度は、私ども「幽玄の間」のホームページをご覧下さり、誠にありがとうございます。
 「幽玄の間」は、ビジネス文書やメールの他、新聞・ウェブサイト・古典漢文に至るまで、様々な種類の中国語に関する翻訳サービスを提供する団体です。東京大学で中国学を専攻した日本人・中国人卒業生が中心となって設立し、その後、法学・医学・工学・音楽・絵画・伝統芸能・料理など、それぞれの分野における専門家をメンバーに加えております。

 一衣帯水の隣国である中国は、日本にとって、経済的にも文化的にも深い影響関係を持つ存在です。そして、いずれの側面においても、中国語が非常に重要なポイントになります。例えば、ビジネスで中国の企業と取引する際に、中国語で書かれた文面の内容を把握できれば、より大きな利益につながります。また、例えば、日本の伝統文化の来歴を学ぶ際にも、中国語(あるいは漢文)の文章を解読することで理解を深めることができます。
 私どもは、日中間での経済交流・文化交流が今まで以上に盛んになり、互いの経済・文化が更に発展することを切に願っております。そこで、微力ながらその助けとなれるよう、翻訳サービスを立ち上げました。
 本サービスにより、皆様方のお役に立てれば、大変光栄に存じます。何卒、ご利用をご検討くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。




「訳」に従事する者として

 代表的な儒教経典「五経」の一つに数えられる『礼記』の、王制という篇の中に、次のような文章があります。


『礼記』王制篇


   五方之民、言語不通、嗜欲不同。達其志、通其欲、東方曰寄、南方曰象、西方曰狄鞮、北方曰譯。
(東・西・南・北・中央で、人々の言葉や欲望は異なる。それぞれの意志や欲求を理解する者を、東方については「寄」、南方については「象」、西方については「狄鞮」、北方については「訳」という)

 ここでの「寄」・「象」・「狄鞮」・「訳」は、伝統的に、異民族との意思疎通に従事する官職を指す言葉として解釈されます。つまり、「訳」という字は、かなり古い時代から、既に「翻訳者」という意味を有していたのです(※)。翻訳という営為の古さが伺えます。
 この『礼記』王制篇の文章は、人々が住む地域によって「言語不通(言葉が異なる)」のみならず「嗜欲不同(欲望が異なる)」ということを指摘しています。そして、単に「達其志(意向を理解する)」だけではなく「通其欲(欲求を理解する)」ということの必要を挙げています。これは、何でもないようでいて、実は大切なことなのではないでしょうか。
 異なる地域で生まれ育った者の間で、話したり書いたりする言葉が違うのは当たり前のことです。しかし、それと同じくらい当たり前で、かつ重要なのが、欲望の違い、つまり価値観の差異です。相手がどのような価値観を前提にしているかを知らなければ、いかに言語に習熟していても、その意図を理解することはできませんし、双方が満足できるように利害を調整することは困難です。
 「訳」に携わる者は、昔も今も、単に言語を変換するだけではなく、異なる習慣・価値観の間を橋渡ししなければなりません。私どもも、このことを心がけ、皆様がより良い結果を得られるように、力を尽くしてお手伝いさせて頂こうと考えております。



なお、この文面では、「訳」は専ら北方の人々を担当する者のことを指していますが、翻訳者一般のことを呼ぶ言葉としての用例も、比較的早期の文献に見られます。例えば、『淮南子』泰俗訓や『塩鉄論』相刺篇といった前漢時代の文献には、「夷狄之國重而來(夷狄の国々が、「訳」を何人も重ねながら、来朝する)」、「越人夷吾・戎人由余、待而後通(越人の夷吾や、戎人の由余は、「訳」によって理解されるようになった)」という文が見られます。また、『漢書』百官公卿表には、「訳官」という職名も記載されています。